子宮ガン
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子宮頸ガンと子宮体ガン

人間の身体にできるガンで、子宮ガンは女性には最も関心の高いガンのひとつでしょう。特に最近は有名タレントなどの手術や闘病記などがマスコミにとりあげられ、より一層の関心が寄せられるようになってきたと思います。

子宮ガンには、子宮の入り口のほうにできる「子宮頸ガン」と子宮の奥のほうにできる「子宮体ガン」の2種類があります。同じ子宮にできるガンですが、子宮頸ガンと子宮体ガンはまったく性質の違うガンなのです。

子宮ガンというと40代以上の女性がかかる病気と思われがちですが、子宮頸ガンは、最近では若い女性にも多く発生するガンです。セックスとかかわりが深く、年齢を問わず、性体験のあるすべての女性に起こり得るガンなのです。一方、子宮体ガンは40代以上の女性に増えているガンです。20年程前は、子宮頸ガンと子宮体ガンの割合は4:1くらいで、子宮ガンといえば、ほぼ子宮頸ガンのことをさしました。しかし最近は子宮体ガンが増えて、2:1くらいの割合になりました。これは、食生活の欧米化や、女性の妊娠回数の減少などが主な原因とされ、今後も増えると予想されています。


子宮は女性の下腹部にある臓器です。膣の奥にあり、前に膀胱、後ろに直腸が隣接しています。大きさは鶏の卵ほど。洋梨を逆さにしたような形で、入り口から奥までの長さは約7cm。入り口近くの約3分の1を頸部、奥の3分の2を体部といいます。


子宮頸ガンはどんな病気? 原因は?

子宮頸ガンは、子宮頸部(入り口付近)表面の粘膜組織に発生するガンです。子宮頸ガンは、どんな人がかかりやすいでしょう。「セックスの経験がある」「妊娠・出産の経験が多い」「初めてセックスした年齢が若い」「セックスフレンドが多い」人に、子宮頸ガンは多く発生しているという結果がでています。これはセックスが引き金になっていることを示していると言えましょう。実際、セックスで感染するヒトパピローマウィルスが原因とわかりつつあり、「ヒトパピローマウィルスの感染+いくつかの因子」により、細胞の遺伝子に変化が起こり、ガンが発生すると考えられています。


 早期発見が大切

ガンが進行すると接触出血などの症状がでますが、進行ガンでは治癒率が低下しますので、自覚症状の無い初期ガンの段階での発見が大切です。子宮頸ガンは、今では初期に発見されれば治る病気になっています。そのためには年一度程度の定期検診を欠かさないようにしましょう。


 検査法

細胞診
ガンの発生しやすい子宮膣部や頸部から、綿棒などで細胞を採取し、染色して顕微鏡で調べます。検査は簡単で、痛みも出血もありません。細胞診の結果は、細胞の変化の度合いでT〜Xのクラスに分類され、クラスV以上だと更にくわしい組織診が必要です。


組織診
組織を、切除鉗子で米粒大採取し、調べます。痛みはほとんど無く、出血も1〜2日で止まります。


コルポスコープ
子宮頸部の病変部位を拡大してみることで、肉眼でみるよりは正確な組織検査、診断ができます。


 治療はどうするの?

ごく初期の子宮頸ガン(ガンが粘膜内にとどまっている)で、妊娠出産を望む人の場合ですと、円錐切除という病巣部分だけをくり抜く方法がとられます。それ以上進行すると、子宮だけでなく卵巣を含めた周囲組織や、リンパ節を取るリンパ節郭清を含む広汎子宮全摘手術が必要となるケースが多くなります。更に進行して肝臓、肺などにまで転移した場合は、放射線、抗ガン剤が使われます。但し、子宮頸ガンには放射線がよくきくことが多いので、高齢や合併症で手術困難な人では、ガン自体はさほど進行していなくても、手術に代わって放射線治療をする場合もあります。





子宮体ガンはどんな病気? 原因は?

子宮体ガンは、別名「子宮内膜ガン」と呼ばれるように、子宮の内側をおおう子宮内膜から発生するガンです。子宮頸ガンに比べ、更年期以後での発生が多く見られます。

子宮内膜は毎月生理によってはがれ落ちるので、正常な生理を繰り返していれば、たとえ内膜細胞に小さな前ガン状態のものが発生しても、ガンに進むことはまずありません。子宮体ガンが若い女性に少なく、閉経以降に多いのはこのためです。原因としては、女性ホルモンのうち、過剰に分泌された卵胞ホルモンが子宮内膜に作用して、内膜が異常に増殖しガン化するのではないかと考えられています。

どんな人がかかりやすいかというと、「妊娠や出産の経験がない」「太りぎみ、糖尿病や高血圧」「無月経または排卵障害がある」「閉経後の女性」「欧米型食生活の人」といった傾向があるようです。


 症状は?

自覚症状は不正出血と下腹部痛です。特に不正出血は重大なサインです。子宮体ガンにかかった人の9割に不正出血が見られます。何の理由もなくダラダラ続いたり、閉経したのに突然出血があったときなどは、すぐ受診しましょう。不正出血を月経不順の出血と考え、放置してしまうこともありがちなので注意しましょう。


 早期発見が大切

子宮頸ガン同様、早期発見が第一です。そのためには、少量でも出血があったらすぐ受診すること、そしてやはり定期的な検診が大切です。特に検診では、超音波エコーで、子宮内膜の厚さ、形状をチェックすることも必要です。


 検査

子宮体ガン検査には、チューブを子宮に挿入し内膜細胞を吸引する方法と、専用の器具で細胞をこすりとる方法があります。いずれも採取した細胞を顕微鏡で調べる細胞診です。子宮頸ガン検査に比べると少し痛みを伴うこともあります。細胞診で異常が見つかった場合は、組織診が行なわれます。


 治療はどうするの?

子宮体ガンには、放射線はあまり効かないので、手術が主体です。初期(粘膜内)の場合は筋腫などと同様、子宮を摘出するだけですみますが、それ以上進行した時には、子宮頸ガンの項で説明した広汎子宮全摘手術が必要になります。





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