骨粗鬆症
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骨粗鬆症ってなぁに?

私達の骨は、思春期頃から急速に骨量の増加が始まり、20歳くらいで一生の中で最も骨量が多くなります。(最大骨量といいます。)ところが、壮年期から老年期へと老化が進むとともに骨量は低下します。特に女性の場合、閉経を境に急速に骨量が減少し、骨にたくさんの孔ができてスカスカの状態になって、骨がもろくなり、ちょっところんだりすべったりしただけで骨折が起きやすくなります。この状態を骨粗鬆症といいます。


骨粗鬆症の問題点

骨粗鬆症は、今ではテレビや新聞などでもよく取り上げられる話題になってきました。なぜ話題になるかというと、骨粗鬆症が原因で大腿骨頚部骨折(股関節臼と大腿骨をつなぐ大腿骨頚部の骨折)がおきると、寝たきり老人になることが多いからです。(「寝たきり」の原因としては、脳卒中に次いで2番目に多い。)

いったん骨折がおきると、若い時とちがって治りにくく、股関節を支えられなくなるわけですから、立てない、つまりそのまま寝たきり老人になってしまうわけで、大きな社会問題となっています。寝たきりになるとQOL(Quality of Life)がそこなわれることは勿論のこと、心肺機能の低下から死期を早めることにもなります。


骨粗鬆症はなぜおきるの?

本来、骨は、骨を作る骨芽細胞と、骨を壊し吸収する破骨細胞がバランスよく働いて、強度を保っていますが、閉経以後は骨を破壊する働きが優位となり、結果として骨量が減ってしまいます。女性ホルモン(エストロゲン)は、骨吸収を抑制し、骨形成も助ける作用があるので、閉経により骨量低下がおこる度合いは、老化だけによる男性に比べ、急速かつ大量です。従って、現在日本では約1000万人の骨粗鬆症患者がいるとされていますが、その80%が女性です。

ところが、中高年の女性の多くは、骨がもろくなる骨粗鬆症の知識はあるが、自分のリスクとして認識しておらず検診や薬物治療が遅れ気味という、骨粗鬆症財団がまとめた調査結果があります。それによると、「50代の女性の10人に1人、60代は3人に1人、70代では2人に1人」という身近な病気でありながら、「気になる健康問題」に骨粗鬆症を挙げた一般女性は3%に過ぎず、また、患者のうち骨粗鬆症と診断される前に検診を受けていたのは19%で、病気になるまで自分とは無関係と考えがちであるということがわかりました。


早期発見と治療

ところが、このこわい骨粗鬆症が骨密度などを測定することによりあらかじめ診断が可能であり、骨粗鬆症と診断された場合には適切な治療によって、骨折の予防ができることがわかってきたのです。骨量低下の結果、骨折、腰痛などの症状が出てくるのは、骨粗鬆症がかなり進んでからですので、症状が現れる前の早期発見と予防が非常に大切です。


 予防

こうした骨粗鬆症を防ぐために、次のことを心がけましょう。



骨を作る原料となるカルシウムの摂取量を増やすこと。日本人の場合、600mg必要といわれますが、閉経後の女性では800〜850mgが理想です。身近で安価な食品としては牛乳でしょうが、小魚、納豆、豆腐、ひじきなどもカルシウムの多い食品です。

摂取したカルシウムの吸収をよくするため、干ししいたけ、いわし、さんま等でビタミンDを摂ります。

屋外での適度な運動をすることで、日光の作用でビタミンDが活性型となりカルシウム吸収を増やし、骨への負荷をかけることでカルシウムの沈着をうながすことができます。

過度のアルコール、タバコの制限などが必要です。


 早期発見

自覚症状のない段階で骨粗鬆症が始まっているかどうかの検査は、レントゲン撮影とか、最近では超音波やごく弱いX線などで、骨量を簡単に測定することができます。(写真参照)
骨塩測定


治療

診断がついた場合、治療は、カルシウムの吸収をよくする薬(活性型ビタミンD剤)、骨の破壊をおさえ、骨の新生をうながす薬(ビスフォスフォネート、ビタミンK)、食事で十分なカルシウムが摂れない人はカルシウム剤が使われます。特に閉経以後の女性の場合は、女性ホルモンを補うことも大切です。(ホルモン補充療法)





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